
【7.学校全体における個人と集団の居場所】
一人でいて居心地がいい空間としてだけ挙げられる場所は、聖籠中では動線の端部となる屋上やその階段、下級生の教室、奥まった非常口といった空間であるのに対
して、打瀬中はホームベース設置予定場所や和室の他に教師との接点となり得るオープンワークスペースが挙がる。しかしそれ以外にも、打瀬中において実際一人でいる生徒は集団でも個人でも居心地がいい場所である図書室・テラスを選択しているのに対して、聖籠中において一人でいる生徒は居心地がいい場所はないという回答が多いことが読み取れる。よって個人と集団が共存できる空間がホームベースや教室の他にも必要である。
【8.授業間の休み時間における生徒の居場所】
全体として、打瀬中の生徒は移動の経路の中で居場所を選択し、主要な居場所として「ホームベース」「次の授業の教室」の2つが挙げられる(rig.8)。これに対し、聖籠中では教室でくつろぐ生徒が多く、一部の生徒が他の場所へ移動して居場所を確保している。
打瀬中と異なる点として、「教室」がクラスの領域、「他のクラスの教室」やその周辺の廊下を含めて、学年の領域となっているが、その領域の中で個人だけの居場所をつくり出すことができない生徒は、保健室・相談室・体育館等に居場所を求めて派生し、そこは学年の混在する場所になっている。この様に抜け出そうとする生徒は殆どが男子であり、女子は教室周辺に居場所を作っていてることが特徴である(Tab.6)。休み時間に一人でいる生徒の居場所は教室と保健室が多く、特に保健室の比率は集団でいる生徒に比べ高く、特殊な傾向が見られる(Tab.7)。